・業種・形態 | 海鮮居酒屋 |
・所在地 | 兵庫県神戸市灘区 |
・クライアント | チムニー株式会社様 |
・店舗面積 | 263.98平方メートル |
・席 数 | 125席 |
・工 期 | 平成21年8月17日~10月2日 |
・開業日 | 平成21年10月27日 |
・設計者 | 山本 守 |
この店舗はJRの駅舎ビル内の3階、ちょうど駅コンコースの上に位置した場所にあるテナント店舗である。 当然内装規制等のコンプライアンス上の制約は相当厳しいものであった。 設計時からJRサイドとの打合せにより配置非難動線、色使い、看板デザインなど、事細かに何度かのチェックを受け、 ようやく決定、施工に至ったものである。
コンプライアンス上の制約と和食系の居酒屋内装デザインとのせめぎ合いでは木製の材料の不燃化をどうするか? という壁もあったが、使用する壁面における木材の占める割合を10%以下に抑えるという緩和措置によってクリアすることにした。 不燃木材を使用していてはコストが合わないからである。
活きのいい魚をメインの食材とする店舗の業態上、まずテーマとしたのは活気ある漁師町や漁港、 それに漁船での漁風景などを魅せよう、というものであった。そのテーマ上、あまり綺麗な建材を使うわけにはいかないところであり、 しかし嫌悪感を持たれるような汚いものにするわけにもいかない・・・ といった相反するせめぎ合いも乗り越えたデザインとしなければならないところが難しいところである。 なおかつローコストに仕上げなければならない。
右写真の船のディスプレイなどは、当初は家具職人に発注したりしていたが、コスト的な面や、
豪快さの表現などの面から、大工に現場で作らせるという手法に変更、採用した。
また上の写真ではFRPマグロの下に配置した原寸大のトロ箱と、デザインシート化したバックの写真に写るトロ箱のサイズが合うように引き延ばし、
遠近感やリアリテイが感じられるものとした。
木材の割合が多いように見えるが、これでも壁面上では10%以下に抑えている。
(建具や間仕切りパネルは対象外)
こちらは個人客用のBOX席が並ぶ店内サイドである。木材のカラーは比較的明るい色に染色しているが、各箇所で色を変えてあり、来るたびに違うBOXに入ればまた新鮮な感覚が味わえるような設計としている。プライバシー確保のためのBOX席ではあるが、解放感も感じさせたいところである。そのため店内の照度は非常に明るく設定しており、また建具の障子紙を全面には貼らず、通路からある程度見通せるような部分貼りとしている。これが閉ざされた中の解放感を演出している。また写真左に写っているデザインシートは一心太助であり、「さかなや」のテーマ演出の一助としている。店内の各所にこういったさかなやのテーマ演出を施している。
こちらのサイドは宴会用の座敷席と厨房があるサイドである。厨房出入り口ののれんには「蔵元」の文字を入れ、灘の酒蔵を演出している。
この地域は灘五郷と呼ばれた灘の生一本清酒の蔵元が立ち並んだ地域であり、それをサブテーマとしている。
また奥のトイレや左の厨房へも本来なら防水の関係上段差ができるところであるが、ゆるいスロープを設けることによって段差の無い内部空間としている。
当然福祉条例の制約も受けており、検査も問題なくパスしているが、検査のための施工では無く、本当の意味でのバリアフリーは人にやさしい店づくりともなっている。